はじめに
「センター便り」と題した拙文を書き始めたのは、2011年8月、東日本大震災の後で電力需給がままならず、節電が求められていた厳しい夏でした。当センターを受診されている患者さんに、少しでもメッセージが届けられたら、とセンターのホームページに短い文章を書き始めたのがきっかけです。
同じ書くのであれば、毎月書いてみよう。
同じ書くのであれば、診察待ちの時間つぶしに読んでもらおう。
同じ書くのであれば、患者さんたちに少しでも最新の医学情報を伝えよう。
同じ書くのであれば、患者さんたちに当センターの雰囲気を知っていただきたい。
同じ書くのであれば、私が常々考えていること、思い描いていることも、書いてみたい。
同じ書くのであれば、読んでいただいた人の気持ちが穏やかになるような文章を書いてみたい。
すこしずつ欲が出てきて、6年半が過ぎました。
毎月1日にホームページに掲載するとともに、センター待合室でもコピーを配布するようになりました。
最近では、この文章を書くことが毎月末の習慣になりました。
いつの間にか、この文章を書いている時が、私にとって至福の時間になりました。
2018年の5月1日に、19982年の創立以来、東京女子医科大学病院から独立した組織であった膠原病リウマチ痛風センターが、東京女子医科大学病院に統合されることになりましたが、これを機に、現在まで書きためた「センター便り」を一冊の本にしようということになりました。
書名をいろいろと考えたのですが、『センター便り』ではいささか味気ない、もう少しだけ情緒のある名前にしたい、と考えて、『リウマチ歳時記』と名付けました。
雲の流れに季節の移ろいを感じ、些事に翻弄される自身の不徳を思い、今一度、見てみたい夢を思う。
この小冊子が、皆さんの人生のどこかで、何らかのお役に立てば、望外の喜びであります。
2018年4月吉日
東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター
教授 山中 寿