第2章 医師は認知症をどのように診断するのか?
3D-SSP(スリーディエスエスピー)とはどんな検査?
アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症、ともに変性性認知症ですが、原因が違うため治療方法も異なります。医療の現場ではどちらのタイプか判断が難しいことがあります。
元来、病理学的所見を背景とする診断名であるアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症などを臨床的に区別して診断するのは容易ではありません。診断を誤ると治療効果を期待することもできなくなります。萎縮の程度や部位を見るのにはMRIが一番有用ですが、萎縮の程度が小さい場合も多く判断が難しいことがほとんどです。
CTやMRIの画像検査では、アルツハイマー型認知症の場合と比較して、海馬の萎縮や血流低下がアルツハイマー型認知症ほど明らかでないことがレビー小体型認知症の診断の手がかりになることもあります。しかし、MRIによる鑑別診断は困難なことが多く、核医学検査が行われます。
レビー小体型認知症に特異的な検査所見として、脳の血流検査(SPECT)で、頭頂葉や側頭葉の血流低下に加え、視覚との関連が深い後頭葉でも血流低下が拡大しています。アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症を区別するために次の2つの検査法が開発されました。