第2章 医師は認知症をどのように診断するのか?
MIBGによる交感神経シンチグラフィー検査とはどんな検査?
特殊な検査として、MIBG心筋シンチグラフィーという核医学検査でDLBの診断に有力な情報を与えてくれます。
この検査ではパーキンソン病でも同じような結果が得られますが、MIBGという物質の集積が心臓で低下します。このような所見は、アルツハイマー型認知症ではみられませんので、両者の鑑別診断に役立ちます。
なお、臨床的にはパーキンソン病と診断されるものの、123I-FP-CIT-SPECT(ダットスキャン®)では異常を示さない症例をScans Without Evidenceof Dopaminergic Deficit(SWEDD)と呼称しています。
MIBGは交感神経終末から放出される神経伝達物質であるノルエピネフリン(ノルアドレナリン)によく似た物質です。ノルエピネフリンはエピネフリンとともに、交感神経系を動かし、心拍を増加させ、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の反応を増強します。
そこでMIBGを投与すると、ノルエピネフリンが分布する副腎髄質や交感神経の作用する臓器(心筋)局所で交感神経系の分布および障害(機能)を画像化する検査です。
DLBやパーキンソン病では初期段階より心臓のMIBG集積(取込)が低下することから、他の認知症との鑑別に役立つ検査方法です。