PETとアミロイド仮説

これまでに触れてきたアミロイド仮説は、アルツハイマー型認知症の基礎病理はアミロイドβの沈着にはじまるというものです。

仮説に対する疑問は多々ありますが、最近の「新薬開発、失敗続く理由とは? 専門家ら、アミロイドβのみ標的とした研究の限界を指摘」という記事(国際医学短信2018年2月15日)を紹介します。

1)注目されていた「選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬であるイダロピルジン(idalopirdine)」「抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬のソラネズマブ(solanezumab)」の2種類の新薬の有効性が示されなかった。

2)アルツハイマー病と診断された患者の脳内に実際にアミロイドβが沈着しているかどうかを正確に判定する方法がなく、死後に剖検で確認するしかなかった。現在はPET(アミロイドPET検査)による描写および測定が可能になったが、アルツハイマー病でも脳内に高レベルのAβの蓄積が認められない患者が約30%いるという。