第2章 医師は認知症をどのように診断するのか?
◎機能画像診断のためのSPECTとPET
機能画像診断では、脳血流や脳代謝を検索します。脳の機能が低下している部分では血流も低下していることから、脳の血流が低下している部位を探ります。
脳の血流低下は、初期の認知症や軽度認知機能障害でもみられます。脳血流低下部位は認知症の原因によって異なるため、脳の血流低下のパターンを確認することは、認知症の原因を診断するのに役立つのです。
CTやMRIで一見正常のように描出されているような場合でも、SPECTやPETによって機能的異常が発見可能です。
SPECTとは、シングル・フォトン・エミッションCT(Single Photon Emission Computed Tomography)の略語で、体内に注入したRI(放射性同位元素)の分布状況を断層画面で見る検査のことです。
体内から放出される放射線の分布を画像化する際、検出器の前にコリメーターという器具を置き、体の周りを回転させて断層画面を作成します。
SPECTは脳の血流動態の評価に優れており、特にアルツハイマー型認知症を始めとする認知症の診断や鑑別に有用であり、日常診療で広く行われています。