第2章 人類滅亡のリスクと回避

1.宇宙

(4)ユニバースまたはマルチバース?

宇宙はユニバースではなくマルチバースであるという説があります。

ユニバースとは、英語のuniverseのことでuni-は単一の意ですから「単一の宇宙」という意味になります。マルチバースとはmultiverseのことでmulti-は複数とか多数の意ですから「多数の宇宙」という意味になります。

ユニバースは我々が在籍している宇宙のことですが、マルチバース説とは宇宙はこの宇宙のみではなくほかに多数あるという説のことです。すなわち、我々の宇宙は唯一ではなく、多数あるいは無数にある宇宙の中のただの一例にすぎないということになります。

又、宇宙は同じ宇宙ばかりではなく、物理定数の違いにより宇宙の種類は10の数百乗もあるとも考えられています。物理定数とは物理法則を記述する際に現れる色々な基礎定数で前述のプランク定数等を含みます。

我々の宇宙が「量子宇宙、インフレーション、ビッグバン」を経過して誕生したものであるならば、そのような事が起こることは禁止されていないことになりますが、禁止されていない事は「繰り返し何度でも起こる(ことが強制される)」という考えなどに基づき多数の宇宙が誕生しているという説が形成されたものです。

又、マルチバースは人間原理宇宙論からも出てくる考え方です(人間原理につきましては、「第3章4−1.人間原理」の中に概略してあります)。

では、どのようにして多数の宇宙が生まれているのかについては、例えば、インフレーション宇宙論には、インフレーションは悠久の過去から永遠の未来に続く大河のようなもので、その一滴一滴がビッグバンを経て宇宙が無数に誕生しているというものがあります。