俳句・短歌 短歌 2020.11.15 歌集「祈り」より三首 歌集 祈り 【第4回】 佐藤 彰子 ―ああだから月はみんなに愛されるんだ自分ひとりを見てる気がする― 夜明けに人知れずそっと咲く花のように、 それでいいんだよ、と許してくれるような、 自分のかわりに、幸せを願ってくれるような。 心に灯りをともす、優しくあたたかな短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 私には母が居るまだ居てくれる月がきれいよ見なさいと言う 真夜覚めし瞬間われを病院のベッドの上の母と思えり 病む母を思う夕暮れベランダに一羽の鳩が水呑みに来る
エッセイ 『プリン騒動[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 風間 恵子 「そんなプリンなんか作ってないで、早くメシのしたくしろ!」台所で一挙手一投足に怒り狂う義父。言葉の暴力が鉛となって心臓を突き抜けた。 ある晩のことだった。三人で、夕食のしたくをしていた。この三人と言うのは、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)・嫁すなわち、私の事である。台所は女の神聖な場所と考えられているのではないか。しかし、この家では、舅が当たり前のように立つことが多い。自分が調理したものは自慢をするが、人の作った料理は決して、美味しいとは言わない。逆に貶す事に喜びを感じるタイプである。野菜の切り方から、味つけまでを一つ一つ指摘…
小説 『我輩は清掃人じゃ』 【第11回】 ホモ・サピエンス 屋内から炎が上がる中、ブロック塀をやり過ごし、玄関を開けて中に入ると「助けて」という女性の声が、はっきりと聞こえてきて… 太っているために体重もある。さほどの腕力もないはずじゃが、何物にも負けぬ人生じゃったために、これしきで敗北しておられんのじゃ。両腕様よ、力を与えたまえ。思いっきり伸ばし思いっきり引く。繰り返し、三度目でようやく上半身がブロック塀を超えることに成功し、いちおうの汗は拭った。けれども、お次は、腰を庭側で座り直し、両足までブロック塀を乗り越えなければならない。最後に飛び降りなければならないのじゃ。二メ…