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翌朝、まず決めなければならないことは足の問題だった。コンシェルジェに相談すると、オフィシャルガイドを雇って車をチャーターし、街を回るのがベストであると勧められた。見知らぬ土地の初日だから、ガイド兼通訳兼運転手を雇うのは確かに良い方法である。
しばらくしてホテルに現れた公認ガイドはルイジ・アンホドロと名乗った。
今日一日のスケジュールを書き留め、ガイド氏のIDカードや免許証のコピーを、フロントにルームキーと一緒に保管を依頼した。同時にガイド氏と費用や条件の確認をする。宗像のいつものやり方だった。
こちらの希望を話すと、建築家のシザなら良く知っていると言う。おまけに幸運にも絶景として知られる、隣町パルメイリャのマトジーニョス海岸に建つ、彼の初期の作品であるボア・ノヴァ・レストランにも案内してもらえることになった。
「そこは夜九時半頃に行くのがベストです。なぜならば夜十時少し前にやっと暗くなりますからね。日没前の絶景とファンタジックな夜景の両方が楽しめますよ」
アンホドロは片目を瞑り、任せてくださいというような顔付きをした。これで今晩の食事は決まったようなものだが、昼はどうするのか? そう尋ねるとアンホドロは自信満々な笑みを浮かべた。
「もちろんそれも考えています。美術館の後は対岸のワイン・セラーを訪問しましょう。まずは見学して、その後、ビンテージ・ワインの試飲をするのです。いろいろ味わって、結局、買わなくとも無料なんですよ。ええ、そういうシステムです。
そのほろ酔い加減のまま、旧市街にある有名なモデルニスモ・デザインのカフェ・マジェスティックで、軽くサンドイッチでもつまんだらいかがですか? これが晩餐を中心に考えた私のお勧めプランです」