俳句・短歌 短歌 自由律 2020.11.07 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第15回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 好きだった君の体臭檜の香 待ち合わせ場所に嬉しい君がいる まっすぐな若さの君といる不安
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『三代の過客』 【第9回】 大村 泰 「ベンチ入りできなかった…ごめんなさい」バットやグローブを買ってもらい、キャッチボールもしてくれていた祖父に頭を下げた あの時分に漫画やテレビで観た『巨人の星』のワンシーンを二重写しに感じたものだ。「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」という光太郎の詩に学生時代、深く感銘を受けた。いま、このときに己の前に新しい道が見えてきた気がする。義夫くんのように。「道程」の一節に「常に父の氣魄(きはく)を僕に充たせよ」とある。胖の父立志(たつし)も四十代で転身したのだった。父の決まり文句が聞こえてきそうだ。「右顧左眄(う…