俳句・短歌 短歌 自由律 2020.10.31 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第14回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 たんぽぽの綿毛のように君を待つ 婆さんになって亡君と会うのはイヤだなあ 切れ味の鋭い君の冷たさよ
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『あなたと虹を作るために[人気連載ピックアップ]』 【第4回】 福田 恭子 ひとり息子である夫の急死を心臓に持病を抱えている義父に、いったいどのように伝えればいいだろうか…どうか倒れませんように… ヴェネツィアでパソコン画面を操作した。手が震えた。今度は先程と違って、目は見えているのに指が言うことをきかない。大理石の床に、こぶしをガツンガツンとぶち当てた。やっと気が戻って、旅行社にメールした。「夫が急逝したとの連絡を受け、気が動転しており間違えてしまいました。どうか一日早い便に振り替えさせてください。なにとぞお願い申し上げます」届け! 頼む! 五分も経たずに、返事が来た。振り替えのできたこ…