俳句・短歌 短歌 自由律 2020.10.31 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第14回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 たんぽぽの綿毛のように君を待つ 婆さんになって亡君と会うのはイヤだなあ 切れ味の鋭い君の冷たさよ
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』 【第30回】 行久 彬 2時間あまりの愚痴に絶妙のタイミングで相槌を打つ彼女――流した涙もそっと差し出されたハンカチで拭い… ワインは商工会の助力もありボツボツと旅館、ホテルからも引き合いが来た。商売は順調に滑り出したかに見えた。しかし、予期せぬことが起った。貯蓄蔵を建ててまもなく鵜方に全国規模で展開する酒販売のチェーン店が進出して来たのだ。そのため、近郷の旅館、ホテルはワインだけでなく日本酒、ビールも皆そこへ仕入れを切り替えた。チェーン店は大規模一括仕入れにより値段が安く、とても地元の酒店が太刀打ちできるものではなか…