そして記憶障害の他、広い意味での「認知障害」が起こります。

例えば、

・月日(現在の日付)や時間が分からない(見当識障害)
・場所(今いる場所)や人物が分からない(見当識障害)
・季節感のない服を着る(見当識・理解力障害)
・善悪の区別がつかない(理解・判断力障害)
・2つ以上のことが重なるとうまく処理できない(理解・判断力低下)
・計画を立て、段取りをすることができない(実行機能障害)
・同じ食材が冷蔵庫にたまりだす(実行機能障害)
・目的に合った買物ができない(実行機能障害)
・これまでと人が変わる(人格変化)
・周囲の状況や情報に対して不自然に対応する(感情表現の変化)

などがあります。アルツハイマー型認知症では、これらの症状は、程度の差はあれすべての患者にみられ、疾患の進行とともに悪化します。

また、

・モノを示す一般名詞が出ない「換語障害」
・モノの名前を間違えるといった「失語」
・思った通りの図形が描けない(代表例:時計を描くことができない)
・服をきちんと着ることができない
・物の使い方が分からないといった「失行」(自動販売機、自動改札、銀行ATMなど)
・見えているものを判断できない(交通信号機など)
・使い慣れた道具が使えなくなる(全自動の洗濯機など)
・近所で道に迷うといった「失認」(徘徊)

もあります。これらの中核症状は、健常者にも時にみられますが、アルツハイマー型認知症では、よくみられる神経症状であるということです。

なお、失語症はほとんどすべてのタイプの認知症、すなわち、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症、血管性認知症などによって起こりうる症状です。

認知症になったときは、障害が軽いうちに障害が重くなったときの後見人を決めておくなどの準備をしておくことも大切です。