第Ⅰ部 医療経営戦略

第2章 医療におけるマーケティング戦略

2.マーケティング・ミックス(4P)

自社のポジションが決定したら、ターゲットとするセグメントに対して働きかけていく具体的なマーケティングの総称をマーケティング・ミックスと呼びます。

1960年にアメリカのマーケティング学者であるマッカーシーが提唱したProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通経路)、Promotion(広告など)という4Pによる分類が有名です。

どのようなサービスを提供するのか? いくらで提供すべきなのか? どこでそのサービスを受けられるか? 市場はそのサービスをどうやって知ることができるか? 

これらに対する回答を準備し、これらの最良の組み合わせ(ミックス)を考えていきます。このときに、4P間での整合性が取れていなければなりません。

・Product(製品):品質・特性、ネーミング、パッケージデザイン、医療では診療の質やサービスを意味します。

・Price(価格):定価、卸価格、割引率、医療では診療報酬(公定価格)、自費診療などです。

・Place(流通経路):チャンネル、配荷率、物流、医療では診療圏、立地条件、地域サービスなどです。

・Promotion(広告など):広告、販売促進、広報、セールスパーソン、医療ではホームページ、講演会、市民公開講座、イベントなども含まれます。

4Pはメーカーを対象としたモデルであるとともに、企業など事業者の立場から見たマーケティング要素であるため、最近では顧客あるいは市場志向に立つ考え方として4Cが注目されています[※6]。