「もうすぐ結婚式を挙げる…はずだった」…式の準備はほぼ彼女がやってくれた。その日も、残業続きの僕を気遣い…
大人の恋愛ピックアップ
【第287回】
降谷 さゆ
年齢を重ねてからの恋愛には、若い頃にはなかった不安や葛藤があります。でもそれ以上に、「恋をすることが人生を動かす」体験をくれることも──。
ゴールドライフオンラインでも人気のテーマである「大人の恋愛」に関連した記事をピックアップ掲載いたします。
幼い頃から数奇な運命に弄ばれてきた雫。そんな彼女を側で支え、愛し続けてきた透。つらく苦しい数々の出来事を乗り越えて、永遠を誓った二人だったがーー。突然訪れた雫の死。透はただ混乱するしかなかった。※本記事は、降谷さゆ氏の小説『スノードロップ―雪の雫の日記―』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
プロローグ
ふと隣に目をやると、いつものように優しく微笑む彼女がいる。まだ幼い日から、いつだって彼女は僕のそばにいてくれて、その当たり前になった幸せをもっと近くで感じたくて、僕はあの日彼女と生涯をともにすることを決めたんだ。
「私、もう一人ぼっちじゃなくなるんだね」
涙で滲んだ瞳をこちらに向けて、頬を緩ませる彼女。
「これまでたった一人で、寂しい思いを抱えながら生きてきたこととはもうさよならしよう。僕がこれからはずっとそばにいるから」
そう言葉をかけると、彼女は幸せそうに目を伏せる。
「……そうだね、私も透くんと一緒なら、きっと幸せになれるよね」
嬉しそうな彼女を見て、心から愛おしいと思った。僕たちは、もうすぐ結婚式を挙げる……はずだった。