「……じゃあ、あと三分」
「三分」
「うん。キリのいい時間とかじゃなくていい。“そのくらいで、よしとしようか”って思えるくらいの長さ」
「了解しました」
ミユは、まじめに頷いた。
「では、残り三分間を、“最後の三分”として扱います」
「そんなふうに言われると、何話していいか分からんな」
私は、頭をかいた。
「じゃあ、普通にいこうよ」
息子が言った。
「何も特別なこと言わないでさ。いつもみたいに、ちょっとどうでもいい話して終わろう」
「どうでもいい話、か」
「たとえば?」
ミユが、首をかしげる。
「今日の晩飯何にするかとか」
「それは、かなり重要な話題だと思います」
「だよね」
息子は笑った。
「じゃあ、最後は晩飯の相談で」
結局、その三分間は、本当に他愛のない話で埋まった。
近所のスーパーの特売情報。
息子の職場の近くに新しくできた定食屋の話。
私の血圧の話を少しして、塩分を控えろと言われて、「晩飯、鍋にしようか」というところで、時間が来た。
「じゃあ」
息子が、深呼吸をした。