こうした中、県病院局が作成した直近の「県立病院の未来を考える有識者会議報告書」(令和4年1月、資料1)や「令和4年度群馬県病院局/群馬県立病院事業概要」及び最新の「群馬県県立病院経営強化プラン」(令和6年度~9年度、資料2)を見ても独法化への言及は全くないと言ってもよく、埼玉県や東京都の相次ぐ独法化も無視して、今後の4年間も赤字体質の経営形態を続けるというこのプランには大変驚きであった。

写真を拡大  資料1

 

写真を拡大 資料2

今や関東地区内で独法化の公立病院がないのは群馬県だけである。なぜ群馬県の公立病院改革が進まなかったのか? その要因は次のとおりではないかと考えられる。

①適切な情報開示をしない県病院局県病院局が毎年度発行している

「群馬県立病院事業概要」には、県立病院の詳細な経営実績はあるものの、全国の公立病院の経営実態・独法化の状況・独法と公企の経営実績の比較等は全くなく、これまでの改革プランにおいても巨額赤字運営を公表せず、県民に対し正確な経営実態の情報開示を怠り、抜本的な改革に取り組まず、私たちの提言に対しても全く反応せず対応してこなかったこと。

②漫然と改革プランに固執して独法化を検討しない県病院局

「第一次群馬県立病院改革プラン」(平成20年度/2008年度)から直近の「群馬県県立病院経営強化プラン(中期経営計画)」(令和6年度/2024年度)まで16年間にわたり6度の改革プランを作成するも、プランの中には独法化を検討した形跡もなく、私達が提言した独法化を徹底して無視して回避してきたこと。

③県から多額の繰入金投入実態が周知されていないこと

全国の自治体と同様に群馬県の情報公開条例でも、「県民の知る権利を尊重し、県の保有する情報を公開するとともに説明責任を果たし、県民のための県政を推進する」と規定されているが、県立病院への多額繰入金(県民負担)の投入実態をこれまで十分説明してこなかったこと。

(2)2007年に提案された群馬県立病院の抜本的改革案及び群馬県の取り組み状況

公立病院改革の目玉として「地方独立行政法人」制度が施行された3年後、真鍋氏が群馬県健康福祉部技監として在職中の2007年(平成19年)に作成した調査報告書は、正に県病院局が主体となって積極的に県内の医療関係者を結集させて公立病院改革を進めるべきであるという提言書で、その概要は以下のとおりである。

〈「(群馬県の)県立病院の今後の在り方」の要旨〉

1 近年、診療報酬の実質マイナス改定の継続、医学部定員抑制策、臨床現場を無視した新臨床研修医制度の導入、医療費適正化という名目の医療制度改革等により、全国的に医師・看護師不足を来して倒産する病院が急増しており、「地域医療の崩壊」が危惧されることから早急に対応策を講ずる必要がある。

2 群馬県の医療状況においても、医師・看護師不足が深刻な課題となっているとともに、公立病院(県立病院・市町村立病院等)の慢性的な赤字経営と各自治体からの多額の繰入金が問題視されており、県民や各自治体の住民の理解を得るためにも改革を行う必要がある。

3 県立4病院への繰入金の状況は、収益的収支に平成17年度が約44億円・18年度が約40億円、資本的収支(施設整備等)には17年度が約18億円・18年度が約22億円で、両年度とも約62億円もの多額の繰入金が支出されている。

また、全体の累積欠損金(累積赤字額)が約94億円にも上っている状況について、情報開示や十分な説明がなされているのか、県民の理解が得られているのかどうか疑問である。

 

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