【前回の記事を読む】群馬県立病院の赤字を調べると、約158億円の累積欠損金が“消えていた”――しかも他県でも同じような異変が起きていて……
Ⅰ章 公立病院改革の出発点及び群馬県の状況 (堀口担当)
1 公立病院改革をめぐるこれまでの経緯
(1)公立病院改革が全く進まなかった群馬県の実態
令和6年度(2024年度)は、公立病院改革の目玉であった「地方独立行政法人」制度施行の平成16年度(2004年度)から20年目の節目に当たる年であるが、群馬県の取り組み状況と私達が取り組んで群馬県に改革を提言した経緯は表1のとおりである。
表1
県病院局は、国の独法化制度施行後4年目の平成20年に「第一次群馬県立病院改革プラン」を策定し、更にはそれまでの赤字累計額であった累積欠損金103億円を県議会の議決を経て解消して、以降五次にわたる改革プランを策定して県立病院の黒字化に努めてきた。
しかしながら、黒字を達成できたのは令和2~5年度の4カ年だけで、実はそのうち3カ年(令和2~4年度)は後述するように新型コロナウイルスによる国の補助金(3カ年合計約41.7億円)によって黒字化できたものであった。
ちなみに国の補助金がなかった場合、令和元年度末の貸借対照表で累積欠損金が約83.4億円にもなっており、これに3カ年の赤字額約26.4億円を加えたら累積欠損金が約109.8億円となり、平成20年度に解消した累積欠損金約103億円を加えると実質的に通算約213億円の累積赤字を計上していたと想定された。
以上のとおり、群馬県の県立病院改革は全く成果を上げてこなかったと言える状況であった。