【前回記事を読む】私の手は、あの人の手にすっぽりと覆われた。じっと視線を注がれて、その目は今まで見たことがない目だった。鋭くて、熱くて、真っすぐで…目を逸らせなかった。
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どのくらいそうして見つめ合っていただろう。時間は数秒だったが、その間に心臓は百回近く鼓動したように感じられた。私には永遠にも思える時間だった。目を逸らし、同時に手を離したのは私のほうだった。心臓が限界だった。これ以上見つめていたら、息ができなくなりそうだった。
「ごめん」
あの人が謝った。見ると、その手は後悔しているかのように膝の上に戻されていた。
「驚かしちゃったね。ごめん」
あの人は私が拒絶したと思っていた。手を触れられたことを私が嫌がったと。誤解だった。私は嬉しかった。嬉しすぎてどうしていいのかわからなかったのだ。心の準備が追いついていなかったのだ。
「違います」
私は再びあの人を見た。もう逸らしたいという気持ちはなかった。私は自分の気持ちをやっと理解した。それはやっぱりあの人のことが好きだという気持ちだった。あの人の手に包まれたとき体だけではなく、心まで熱くなったのは、その気持ちのせいだった。私はやっと理解した。そして、その気持ちから逃げるのを止めた。
「私、先生のこと大好きです。はじめて会ったときからずっと気になって目で追い駆けていました」
言った瞬間、ずっと心に圧し掛かっていた重みが軽くなった。それは私が一人で抱えていた苦しみだった。誰にも言えず、周りから隠してきた苦しみだった。私はやっと言えたと思った。やっと自分の気持ちに素直になれたのだ。
「ごめんなさい。突然変なことを言って。でも本当の気持ちなんです。先生にチョコをあげたのも、海に行きたいって言ったのも、先生のこと好きだからです。もちろん自分の立場はわかった上で言っているつもりです。先生の立場も。本当はこんなことは心の奥にしまって、言うべきじゃないってことも。でも好きなんです。抑えきれないぐらい先生のことが好きなんです」
恥ずかしさはなかった。私は驚くほど冷静だった。もしそのときあの人に冷たく拒絶されたとしても、取り乱さない自信があった。私はあの人の愛を求めたわけではなかった。ただ自分の思いを伝えたかったのだ。それでどうなるかなんて考えていなかった。ただもうあの人の前で嘘をつき、仮面を被りたくないだけだった。私はあの人に本当の自分を知ってほしかった。
「でも先生が私の気持ちに答えられないならそう言ってください。私は諦めます。今日のことも誰にも言いません。私は好きって言えただけで満足です」
私はどんな返事が返ってきても冷静に受け止める心構えができていた。そして「ごめん」と言われたら素直に引き下がる準備も。けして泣いたりせず、笑って受け止める準備も。
私は大きな期待は持っていなかった。所詮、あの人への愛は叶わないものだとどこかで諦めていた。今日があの人と最初で最後のデートになったとしても後悔はなかった。私はどんな結果でも驚かないつもりだった。
しかし次の瞬間、予想もしていなかったことが起きた。