俳句・短歌 四季 歌集 2020.10.19 歌集「旅のしらべ・四季を詠う」より三首 歌集 旅のしらべ 四季を詠う 【第23回】 松下 正樹 季節に誘われ土地を巡る尊きいのちを三十一字に込める 最北の地で懸命に生きるウトウ、渚を目指していっせいに駆ける子亀……曇りなき目で見つめたいのちの輝きを綴る短歌集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 若竹の葉末をゆすり吹く風の 涼しき夏のまためぐりくる 立ちまじる竹の林に若竹の 青くつやめく幹まぎれなし 改行2行取り 若竹の節ぶしの間の内側は 筒のやうにてきよらかなり
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『ラーゴ 』 【第5回】 そのこ+W 「お願いだからイタリア人と結婚しないでね」そうは母言った。いざ結婚すると働かない、不倫。日本人女性のイタリア人男性はうまくいかない? マリア・カラスは無理なダイエットで声をダメにしたが、それをさせたのは愛人のギリシアの船舶王、アリストトール・オナシスだったという噂だ。若い時肥満(九十キロ近かったという)だったカラスはオナシスに毎日人参の汁を飲まされてスリムな体型になった。でもそれはただの作り話だったかも知れない。カラスはオナシスの為に実業家の夫と別れたが、そのころにはもう痩せていたという話だ。昔のオペラのプリマは総じて体格のい…