「高井良、お前、俺が山本を殺(や)ったって言うのか。そこまで言うのなら何か確実な証拠があるんだろうな」

「証拠……」

辻は立ち上がり、高井良に詰め寄った。

「まさか何の証拠もなしに教養係の新人がわざわざ捜査本部まで乗り込んで、所轄の皆さんの前で捜査第1係長に恥を掻かせたというんじゃないだろうな。お前、自分が何をしているのか分かっているのか。これはただでは済まんぞ。木曽、こいつを連れてきたお前にも責任がある。約束通り2人とも警察を辞めてもらおうか」

「ククククク……」

天蓋が失笑した。

「何がおかしい」

辻は怪訝そうに天蓋を睨みつけた。

「ははははははは……いや、失礼。東大出のエリートと聞いていたから一晩もあればもっとましな推理を展開するかと思ったら、相変わらず馬鹿なことばかり言っているもんだから、つい笑ってしまったよ」

「馬鹿……係長が無理矢理言わせたんじゃないですか!」

高井良が憤慨した。

「お前、こいつに恥を掻かせるためだけにここに連れてきたのか?」

「いや、もちろんそうではない。私は自分の推理を証明するためにここに来た」

「推理?」

「ああ。私の考えではY公園で殺人事件など起きてはいない」