【前回の記事を読む】深夜の警察署で“真犯人”を推理中、ドアの外から「くだらない」という声が…だが廊下には誰もいない。席に戻ろうとした瞬間…
ダウト1――銃殺を疑え
「もちろんこれを使った」
天蓋はポケットから一本のペンを取り出した。
「それは……何ですか?」
「本当に鈍いな。詩が君に見せただろ」
「あっ!」
高井良は公園で詩が胸ポケットのペンを見せたことを思い出した。
「よく見たまえ。小さなカメラが付いているだろ。こっちの穴はマイクになっている。これで君達が見たもの、聞いたこと全て私はあのタブレットで把握していたわけだ」
天蓋はロッカーの中のタブレットを指差した。
「じゃ、じゃあ光信さんもグルだったんですね」
「聞こえは悪いが、グルは元々グループの略だからな。まあそういうことだ。私が詩に君から目を離さないように頼んだんだが、まさか君が時間外勤務までさせるとは思わなかったからな。さすがに教3が時間外手当を貰うわけにはいかないから私が自腹を切ることになってしまったよ」
「それで光信さん、僕によく付き合ってくれたのか」
「話は戻るが、午前1時のドーンの後、午前3時になって3人はパンという音を聞いて林の中に向かい死体を見た。そして辻達に遭遇した。銃の発射音は人によって表現の仕方がまちまちではあるが、私にはパンという音に聞こえる。それでは午前1時のドーンは何の音だったのか君は全く考察していない」
「事件とは全く関係がないんじゃないですか?」
「だから君は間抜けだと言うんだ。本当に東大を出ているのか?」
「さっきから黙って聞いていれば間抜け間抜けと何度も馬鹿にして! じゃああなたはこの事件の真相を知っていると言うんですね!」
「もちろん全て知っている」
天蓋は自信満々に答えた。
「何ですか?」
「私の考えを言ったところで君には到底理解できまい」
「随分勿体ぶるんですね。どうせ何も分からないんでしょ」
高井良はつむじを曲げた。天蓋は憐れむような眼で彼を見た。
「仕方がない。そこまで言うのなら教えてやろう。私の考えではY公園で殺人事件など起きてはいない」