【前回の記事を読む】初めての経験でボタンを外す指先が震える私に、彼は「気持ちよくなりたくて来たんでしょう」と…うなじから背筋へと指の腹でなぞるように触れられて…
2.
「ごめんなさい、びっくりして」
「大丈夫ですよ。慣れるまでは驚きますから」
ボディソープを手のひらで泡立て、幸江の肩から二の腕へと、ぬめりをまとわせるように撫でていった。泡と湯が混ざって、肌の上をなめらかに滑る。
「……手、あったかい」
「冷たくないですか」
「ううん。……人の手って、こんなにあったかかったんだ」
幸江の声が、語尾でかすかに揺れた。
渉は手を腰からゆっくりとわき腹へ移した。ソープで泡立てた手が肋骨の際を滑ると、幸江が息をひそめた。指先がそのまま、胸のふくらみの下のやわらかいところをかすめる。幸江の喉が、ひくりと鳴った。
「……あっ……そこ、触られると、なんか……」
「感じやすいですか」
幸江は答えなかった。でも、逃げようとはしなかった。むしろ自分から、渉の胸に背中を預けてきた。濡れた背中越しに、幸江の心臓の鼓動が伝わってくる。速く、強く打っていた。
「……心臓、ばくばくしてて、恥ずかしい」
「俺にも、伝わってますよ」と渉は耳元で言った。
「でも、それでいいんです」
泡をまとった手が、幸江の体の前へとゆっくりまわった。鎖骨から、胸のやわらかなふくらみへ。指がその先端にそっと触れた瞬間、幸江が声を上げて、渉の腕を掴んだ。
「……っ、待って、待ってください」
渉はすぐに手を止めた。「やめますか」
幸江は荒い息のまま、首を横に振った。
「ちがう……やめないで。ただ、少しだけ、待って。久しぶりすぎて、どうにかなりそうで」
「ゆっくりでいいです。時間はありますから」