彼は頭が混乱して固まってしまった。そして、ゴクンとつばを飲み込んだ。
「ところで、その『ひいおじいちゃん』ていう言い方やめてくれない?まだ前途ある少年なんだから」
「わかったわ。じゃあねえ……、翔太くんて呼ぶね」
「まあ……それならいいよ」
翔太は自分の机に戻った。セリーヌも立ち上がり彼の横に来た。机の上には、教科書と地図帳とノートが広がっている。
地図は徳川共和国というタイトル。
「そうそう。徳川共和国!? それってどこの国?」
セリーヌが大きな声をあげるものだから、驚いた翔太は口を尖らして言った。
「なんだよ、ボクたちの国じゃん。キミは徳川共和国を知らないの?」
「はぁ~っ!?」
彼女は目を剝き、地図を凝視したまま動かない。唇が、わずかに震えている。
徳川共和国の地図は、日本地図っぽい形。
「ていうかさ……、さすがにこの地図、ジョークでしょ? なんで本州の東半分しかないのよ」
「本州ってなあに? 東半分? 京の都より西は、薩摩諸藩連合UHS。隣の国だよ」
「北海道もないじゃないの」
「えっ? 北海道ってなあに?」
セリーヌは地図を指さしてトントンと叩く。
「ここよ、ここ!」
と大声。
「そこは、ロシア連邦のエゾ州だよ。僕たちの国じゃないんだ」
「はあぁ~? マジ~?」
彼女は頭を抱える。そして畳みかけるように、
「それにさ、ここに東京って書いてないんだけど!」
イライラして、大声になる。
「トーキョー? なにそれ」
「ここよ、ここっ!」
セリーヌ、地図を強く連打。
「そこは江戸市っていうんだよ。ちゃんとここに書いてあるじゃん。今、ボク達がいるところ」
彼女は、地図を見つめたまま動かない。指先が震えている。呼吸が荒くなる。
(注)超AIチップ埋め込み法は、解説コーナーをご覧ください。
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