私はその四年前、進学教室の健康診断で、γ-GTPを始め、多くの数値が基準値を超えていて、これはまずいと思った。というのも、その頃しょっちゅう胃を壊し、風邪もひきやすく、片頭痛に悩まされていた。

そこで、健康法に関する本を読み漁り、「絶食療法」にピンと来て例によって神田の古本屋街へ行って、4,5冊買って来て、その中に書かれている具体的な方法で、自分でもやれそうなものを選り出して、実行することにした。

全ての本に、「医師の下で」実施するよう書かれていたが、その頃85キロを超えていた体の調子だけでなく、相変わらず授業前まで続く「鬱気」に五年以上悩まされていたので、半分本気で「死んでもいいや」と始めることにした。

すると、酒をすっかり断ち、減食期間の一週間が終わっただけで、まだ若かったからだろう、信じられないほど体が軽くなり、実際、道を歩いていて走り出したりした。

だが本断食は甘くなく、三日目は特にきつく(そのことは知識として知っていたので、三日目の土曜日と5日目の月曜は休みを取っていた)体から力が抜け、左わき腹が猛烈に痛んだ。しかし、これも本に書かれている通り、4日を過ぎるとぐっと楽になり、左わき腹の痛みはなくなった。

6日目に塾に行って普通の仕事をしたが、誰も私が、6日間、何も食べていないと思わなかった。しかし本部へ行くと、女性の事務員の一人が私を見て「ダイエットをしたのか」とすぐ言った。私は酒を止めて、リンゴを中心に果物ばかり食べて、一週間過ごした、と誤魔化した。実際、体重は久しぶりに七十キロ台に戻っていた。

だが残念なことに、便通はあったが、「宿便」というほどの多量の強烈な匂いの便は出なかった。それで、それから半年後、もう一度やったのだが、その時は「宿便」が、二日に渡って多量に出て、以来、体調がすっかり良くなった。

翌年の健康診断では、全ての数字が基準値に戻って、医師に皆の前で名指しで褒められることになった。

そう、絶食の効用として付け加えねばならないのも、精神状態が安定することである。69歳になった今に至るまでやり続けた大きな理由は、鬱気の解消に大きな理由があったのかもしれない。ただ、絶食期間後、禁酒しているときはいいが、また飲み始めて二か月もすると、やはり元の木阿弥になるが。

次回更新は9月14日(月)、11時の予定です。

 

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