朝七時に目が覚めた。ダイニングから唸り声が聞こえて驚いた。

昨夜と同じダイニングテーブルの下にいたのは骸ではなかった。

まだ、猫さんの燃料タンクは空になっていなかった。まだ生きていて良かったという嬉しさと、まだ苦しんでいるのかという悲しみが入り混じる。

猫さんは唸りながら妻と息子の部屋に近づいたので、危険を感じた。

彼女はその時、おしっこを漏らした。それまで排尿を我慢していたようだった。

しばらくすると、猫さんは籠城中のダイニングテーブル下に戻った。

妻は「猫さんがダイニングにいたら、生活が立ち行かなくなる」と言い出した。

その通りだ。怒る猫さんがダイニングテーブルに籠城していると、私達が食事も摂れない、朝食は各々の部屋で摂ることにしたが、いつまでもこうしているわけにもいかない。

ケージに入ってもらわないと、我々も困るし、猫さんも休めない。

そこで捕獲する事にした。

その方法をネットで調べじっくりと考え、妻と打ち合わせて決行する事にした。

妻に猫さんの背後に回ってもらって気を逸らしている間に、冬用の合皮の厚手の手袋を履いた私が、妻のラップタオルで猫さんを顔からくるんで捕獲した。被弾覚悟で行ったが、どこにも傷を負わずに済んだ。

怯える息子は、義父に預ける事にした。

幸い義父は休みだったのですぐに駆けつけてくれ、事情を聞くと夕方まで預かると約束してくれた。

猫さんをケージに入れた後、ダイニングテーブル下の掃除を始めた。

先程漏らした尿以外にも便を漏らしていた。九日ぶりに出たのだ。

ケージ内では、猫さんは相変わらず怒っていた。そこに水や食料を入れてあげたいが、怖くて近づけない。

ケージの扉を開ける事自体に危険を感じたのだ。

このまま体力が尽きるのを待つしかない。

ごめん……。

 

昼過ぎ、まだ彼女は怒っていた。

声をかけても私が誰だか分からない様だった。恐らく尿毒症からくる脳症だろう。お別れの言葉を口にする。涙が止まらなくなる。

大好きだよ……ありがとう……苦しまなくていいからね。

きっと天国で必要とされていくから早く逝くんだよね?

そう何度も話しかける。

次回更新は9月13日(日)、11時の予定です。

 

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