だが、今目の前にいる猫さんは、完全にリミッターが外れた野獣だった。
そして、私には分かっていた。病魔に侵されているとは信じられない程のエネルギーを発散するこの猫さんは、このエネルギーを出し尽くした後には……。
ありがとう。
お別れはこれまで沢山言ってきたよね?
大好きだよ。
あなたがあなたでなくなり、私を認識できなくなっても。
涙混じりに声をかけ、ご飯とお水の皿を、ダイニングテーブルのできるだけ猫さんの近くに置いた。飛び掛かられないギリギリに距離まで近づいて。心臓が凍りつくようだった。
それから、私は台所の換気扇を点けた。
ここのところ猫さんの体臭が酷くなっていたのだ。体を洗っても駄目だった。
きっと尿毒症の臭いだろう。換気扇の唸る音を確認し、自分の部屋に籠った。