片倉が呟くように言った。
「小林さん……この子達、幸せなんでしょうか?」
俺は片倉に
「笑顔というのは、時につらさや苦しみ、悩みさえも隠してしまう。この子達の笑顔が本物であってほしいな……」
俺の言葉を聞いた片倉は一瞬の沈黙の後、俺を見て
「小林さん! 私達の仕事はみんなが〈本物の笑顔〉を見せられるようにすることですよ! 立ち止まってはいられないです」
俺は頷くと、片倉と共に署の駐車場に向かって行った。
――エピローグ――
刑事課では刑事課長と黒崎刑事がコーヒーをお供に話していた。課長が
「どうでしょう? 黒崎さん。あなたはあと数年で定年です。退任するまでに小林を鍛え直してもらえませんか?」
課長の頼みに黒崎刑事は考えていた。刑事課長は話を続ける。
「あの男は諸刃の剣です。その切っ先は犯罪者だけに振り下ろされていればまだいいのですが、いつかあの男自身を傷つけてしまう。そんな気がするんです」
黒崎刑事は課長に向き直ると
「分かりました……打ち直してみましょう。退任までの間、どこまでできるか分かりませんが……」
課長は安堵の表情を見せコーヒーを口に運んだ。
(了)
本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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