奥田巡査長は
「ライブハウススタッフに聞き取りをしてきて分かったのは、皆、桜手芸能事務所と極竜会を恐れていたことです。売春を強要されて自殺未遂をしていた女の子もいました。手首の傷を隠していた子もいました。大川高志逮捕の話をしたら安心したのか泣き出す子もいて……」
警ら課の警官から
「山口知佳の一件から、あの子達の周辺に関して警戒を強化しています。今のところ異状は認められません」
皆の報告を聞いて刑事課長が今回の事件を総括した。
「殺人事件でありながら、肝心の死体が出てきたのは最後の最後だ。こんなのは初めてだ。鑑識課……暴対課……地域課……警ら課……そして刑事課。城東警察署の総力を挙げることになった。改めて皆にお礼を述べたい」
そう言って立ち上がり、姿勢をただした。そして
「皆さんのご尽力……ご協力に感謝致します」
言葉とともに敬礼をした。その場の皆も答礼で応えた。
こうして〔死体無き殺人事件〕は解決した。
# 20 #
「小林! いつまで机にかじりついてる。片倉は既に出てるぞ」
黒崎刑事は俺に激を飛ばす。俺は
「黒崎さん。慌てなくても仕事は逃げないですよ!」
と答えるも黒崎刑事の眉間にシワが寄っていくのを見て、椅子の背もたれにかけてある上着をつかむと駆け出していく。
1階に降りると待合スペースに片倉が立っていた。俺は片倉に近づき視線の先を追うとテレビがあった。テレビ画面ではフリルひらひらの衣装の女の子達が笑顔で歌っている。