四丁目は明治の近代化した姿を感じさせる建造物が並んでいた。日本赤十字社中央病院病棟、ブラジル移民住宅、鉄道寮新橋工場・機械館。大阪の池田市にあった呉服座も興味をそそった。

五丁目には京都にあった聖ザビエル天主堂が移築されていた。ステンドグラスが美しい白亜の教会だった。菊の世酒造は大きな酒蔵の建築物で酒造りの道具が展示されていた。また帝国ホテル中央玄関は二十世紀建築界の巨匠として名高いフランク・ロイド・ライトが設計しており、堂々とした大谷石に風格を感じた。

「速足で見て回ったから疲れたろう。ここで喫茶タイムとしようか」

「うれしい」

帝国ホテル中央玄関にある喫茶室で一休みした。

「博物館明治村はどうだった」

「よくこれだけ集めたのね。社会科の授業で習ったけれども、鎖国をしていた江戸時代が終わってから、明治時代の人が西欧の文化を取り入れるのにどれほど熱を入れていたかわかったわ」

「日本が文明開化して西欧に追いつこうとした明治人の意気というか気概が、建築物に反映されている貴重な博物館だよね。お父さんはそう思っている」

「"百聞は一見に如かず"。明治村は特にね」

「絵里は難しい言葉を知っているね」

「国語の授業で教わったよ」

絵里は満足気だった。

 

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