【前回の記事を読む】信長にも恐れはあった…だからこそ奇襲を命じた。実は武田勝頼にも勝機はあったが、勝頼を恐れた信長が…【長篠合戦】
第三章 女友達
茅根は新幹線のホームで娘の絵里を迎えた。
絵里は到着した車窓から茅根を見つけ手を振っていた。
絵里は降車するなり言った。
「お父さん、元気そうじゃない」
「お父さんは元気だよ。絵里に会えたからな」
茅根は笑顔で答えた。
「よかった」
絵里は表情を崩していた。
「どこへ連れていってくれるの」
「地元の方に相談したら博物館明治村がいいんじゃないと言うから、そうしようと思っているけれどいいかな」
「うれしい。私初めてだし」
絵里は今年、中学生になっており、夏休みを利用して一人で遊びに来たのだ。
絵里が名古屋に一人で行きたいと言い出した時、妻は心配し茅根に電話で相談してきた。茅根は「新幹線に乗るところまで一緒に行ってやればいいんじゃない。こっちは僕がホームで迎えるから」と言って話がまとまっていた。
名鉄バスセンターから明治村行き高速バスを使うと、一時間ちょっとで到着する。
バスの中で絵里と久しぶりに会話した。
「お父さん、一人の生活慣れた?」
「初めの頃は仕事も大変だったから、気分的に疲れたこともあったよ。でも、だんだん楽しくなってきたよ。お父さんは昔から歴史が好きだから、地元の人と話して、いろんなことを教えてもらってるよ。どこへ行けばいいかとか勧めたりしてくれる。歴史博物館に『史跡探訪集いの会』というのがあって、その会に入会したんだ」
「そうなの。よかったじゃない」
「お母さんは元気か」