(注)

支那:中国最初の統一王朝の「秦Chin」が語源で、英語のChinaも同じであり、歴史的根拠は、はっきりしている。問題なのは、日本が当時中華民国(中国)を「シナ」とことさらに言って、侮蔑的に使用したことである。20世紀になるまで「中国」という国はなかった。中華民国は1912年、中華人民共和国は1949年にできた。時代ごとに王朝の名前が変わり、各王朝が統治した区域も異なるのだから、差別意識の無い支那の用語は、残したい。

支那事変:1937年盧溝橋事件を発端とする、大日本帝国と中華民国の武力衝突。両国とも宣戦布告しなかったので、戦争と呼ばれなかった。今は「日中戦争」としている。

日清戦争:1894―1895年の朝鮮半島の権益をめぐっての日本と清国の戦争。勝利で台湾を植民地とした。

日露戦争:1904―1905年に起こった朝鮮半島と満州の支配権をめぐる日本とロシアの戦争。

芦田均:1887―1959外交官から1932年に政治家に転身。1948年第47代総理大臣就任。

 

昭和十五年度の文化講師は、陸軍省軍務局長の武藤章少将だった。氏はその内容として、―本校からは以前に不埒な輩がでた―と言って攻撃した…

陸軍の大立役者であるから、泥沼に足を突っ込んだような支那事変を、如何に処理しようとしているかを、私たちは聞きたかった。

しかし武藤少将からは、何の解答も見いだせなかった。

「あいつが軍務局長かい? 偉そうな面(つら)をして、大きな肩章をつけている。俺たちは兵役の義務、即ち国家に生命を差し出す義務を負わされている。間もなく銃を持って戦線に立たされる。だからあいつは『諸君お願いします』と言えばいいんだ。…」

某友人の声に私たちは共鳴した。勉強したって社会に出て役に立つ訳じゃない、どうせ数年後には戦死するだろう…。