そういえばわたしも、自分に似ているって思ったっけ……。

そこに思いが至った時、先ごろの面接官の顔が頭に浮かんだ。この成績であなたは何を目指していたのか、そう彼女は問うた。内面に潜む可能性は一切斟酌せずに。

「あ、同じことしてる」

立ち止まって南天を仰いだ。

「結局わたしも、見た目で判断してるね」

当然、フォーマルハウトは何も言わない。二十五年前に放たれた光をこの目に届けているだけだ。

わたしは花を愛でる時、花弁にしか目がいかない。葉や茎や、根っこまでを含んでの美に思いをはせることがない。「きれいな花」と口にしたなら、それは花弁をさす言葉だ。

自分を花にたとえるつもりなどないけれど、空木幸枝という外見は、懐のうちに隠されているあれやこれやの一つに過ぎないと思う。ちょっと本気で調べたら、あの星みたいにいいところはたくさんあるのに。

振り返って、歩いてきた道筋に目をやる。遠くなるほどに闇の深まる田舎町。愛すべき新しい知人が住む開発途上の土地。

「家族を失った人、待つ人がいない家に帰る人。あんな人たちもいるんだ。あーあ、わたしってつくづく世間知らずの甘ちゃんだな」

あれこれ考えていたら、気分が沈んできた。せっかく楽しい時間を過ごしてきたというのに、これでは貴重な土曜日が台無しだ。来週からまた無味な生活が始まる。週半ばには面接も一件予定に入っているからリセットしなくちゃ。

星から目を外して駅への道を急ぐ。涼しすぎる北西風が容赦なく叩いて、露出部から徐々に体温が奪われていく。道は平坦で真っ直ぐなのに藪を漕いでいるような気がしてきて、家までの道のりが遠く感じられた。

以前見上げた看板が目に入った。複数のスポットライトに浮かび上がる笑顔は、太陽光の下よりも数段華やいで見える。

可愛いというだけで報酬を得られる天与のご褒美。あの時はそう思った。正直、今もちょっとだけ思っているけれど。

「あなたもきっと苦労したんでしょうね」

数千人数万人の中からたった一人が射止めるグランプリ。見た目だけでは手に入らない遥かなる高み。デビューまでの道のりも平坦じゃなかったはずだ。

「頑張りが足りていないのはわたしの方だったみたいね」

女優はやはり何も語らず、ビルの屋上から清楚な笑みを投げかけるだけだった。

「これからでも遅くないかしら」

外見は変えられない、でも内面ならまだ何とかなるかもしれない。次の面接は開き直って、ガツンと一発ぶちかましてやろうかしら。

次回更新は8月28日(金)、11時の予定です。

 

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