【前回の記事を読む】卒業式から“壇”が消えた理由は、教師の発案だった…日の丸を掲げるスペースをなくし、君が代も拒否する計画を知った保護者は……
1 南奥戸小学校
相川はどうせなら区役所でなく都庁に異動したかったので、校長と教頭に自分の希望を伝えた。
教頭の片岡は多少偏屈なところもあったが、日ごろから目にかけてきた相川のたっての希望ということもあって、自分のボスの富永に話を持ち掛けた。
富永は師範学校出の小学校校長だが、現役時代は陸上の記録保持者で、上下関係の厳しい体育系教員のボスとして東京では知らぬ者がいないほどの大物だった。
富永は区教委に話をつけるのでワイシャツの仕立券を用意しろと言ってきた。当時の価格で2万円ほどの金額だった。金のない相川の代わりに片岡が仕立券を用意してくれた。
次に富永は葛飾区とは話がついたので次は都教委に行くので今度は仕立券を2本要求してきた。相川はついに期末ボーナスをはたいて仕立券を購入した。
そして迎えた人事異動内示は東京都清掃局だった。
局順としては下から数えたほうが早い局だがなんといっても都庁本庁の知事部局である。こうして葛飾区の学校事務で5年間もくすぶっていた相川の人生挽回が始まった。
「インチャ! 戦闘開始」