「友人代表ってなに?」

「まあ、いいじゃない。私も遥香さんに伝えたいことがあるんだよ」

「なにを伝えたいの?」

「女同士の話なので、秘密です」

結局、彼女ははぐらかして、教えてくれなかった。このやり取りはすでに三度目である。よくも懲りずに同じ冗談を言い続けられるものだ。

桶に入れた水と線香と花を抱えて、遥香のお墓を目指す。いくつもある中で、遥香のお墓は、木陰のゆとりのある開けた場所にあった。

「あったね」

「そうだね」

遥香のお墓に水をやり、花をやり、線香をやる。

「遥香、久しぶり。僕の友達を紹介するよ。前園明里さんといって、同じゼミの人なんだ」

「……え、私の紹介それだけ?」

明里さんが不服そうに頬を膨らませる。

「あー、えっと、僕に就職活動を教えてくれた数少ない友達だよ」

「それから?」

「大学で唯一の友達なんだ」

「それから?」

「おしゃれなカフェでバイトしてて―」

「それから?」

「ねえ、なんで明里さんが訊くの? 僕今、遥香に話しかけてるんだけど」

明里さんはおどけたように笑う。

「だって、私の紹介が甘いんだもん」

「遥香に勘違いされたら困るからだよ。僕はずっと遥香が好きなんだから」

明里さんはやれやれといった表情を見せると、一歩前に進み口を開く。

次回更新は8月25日(火)、11時の予定です。

 

👉『僕が奪ったきみの時間は』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】あの時と同じ露天風呂…でもあの時よりもずっと深く、愛しあった。「もう1回だけ」と囁かれ、湯けむりのなか重なりあって…

【注目記事】「三人でシよう」彼が同僚を連れてきて言った。私はただの遊びの女で、愛し合っていると思っていたのは私の錯覚だった…

 

ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp