初めリョウは、自分とシメンが奴隷になることを受け入れられなかった。確かに、草原で突厥の一団と出会ったときには水や食べ物を分けてもらったし、黄河を渡る舟にも乗せてもらったが、それは事情を聞いて助けてくれたのではなかったのか……。しかし、そんな甘い考えが通用する世界でないことは、すぐにわかった。
シメンと離され、奴隷用のゲルに入れられたリョウは、翌日にはもう羊の世話や畑の手伝いに駆り出され、へとへとになるまで働かされた。
逃げようと思っても、シメンを置いていけば見せしめに殺されるだろう。もし馬を盗んで二人で逃げたとしても、周辺の突厥の部族には逃亡奴隷の知らせがすぐに行くだろう。それよりなにより、厳しい自然の中で二人きりで生き抜けるとも思えなかった。張が言った「逃げたら死ぬ」というのは、そういう意味だったのだろう。
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