俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.10.14 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第11回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 血の滲むやうな鰹を食ひたりて 唇なまぐさき五月はじめは 紫陽花は散らざり褪せてゆくやうに 人はすなほに生きて老ゆべし どくだみの十文字を描く白花の すがしさに惹かれわれは寄りゆく *どくだみ 四弁の白い花。
小説 『超能力探偵 河原賽子』 【第41回】 春山 大樹 私に会いに上京したはずの母。しかし、位置情報が示したのは板橋区の民家…そこは末期患者のための治療院だった。 【前回の記事を読む】「母は相当ひどい状態」と聞き、久しぶりに上京した母に「健康だよね?」と聞いた。すると、しばしの沈黙をはさみ…翌日、麻利衣は事務所のソファで足を組んでコーヒーを啜っていた賽子の前に右手の握り拳を固めていきなり立ちはだかった。「何だ、そのしかめ面は。腹でも痛いのか」麻利衣が拳を賽子に向けて突き出し、手首を回して掌を開くとそこには1個のサイコロが握られていた。「やはり私はあなたの超…
小説 『ホームランとフォーマルハウト』 【第16回】 福原 道人 「幽霊でもいいから、この手に抱かせてくれ」孫を事故で失った老人が、会って2回目の女性に語っているうちに表情が変わり始め… 【前回の記事を読む】「実は、もう孫はおらん…息子夫婦とともに逝っちまいました」おじいさんに真実を言わせてしまった。噂は本当だったんだ。「孫は、息子に似て引っ込み思案でして、身体も弱く、赤ん坊の頃からよく熱を出す子でした――」わたしは困惑した。会って二回目の、それも縁の浅い相手に打ち明ける内容じゃない。だからと言って、今さら止めろとも言いにくいし、耳を塞ぐわけにもいかない。「仲の良い子もおらず、ず…