【前回の記事を読む】台所の隅のゴミ入れに置かれたサンマの頭と同じように、棺に入った自分…他人に顔を見られるのが嫌──「視姦」他・詩3篇

二章 変わらぬ道

明るい友人

友人の結婚式の帰り

入院している別の友人に 報告をかねて

立ち寄った

いつも学生時代 四人で旅していた

バイトしたお金で

学生寮やユースホステルを使い

一番楽しかった頃

その時の一人だった彼女の入院

残る二人で 式に参加したままの姿で

彼女を見舞った

すでに彼女の勤め先の友人が

少し沈んだ顔で病室の壁に立っていた

ベッドに横たわるいつもの顔を見て

病気で休んでも 半分給料が出るから

退院したら 皆で旅行に行こうと約束した

薬の副作用で 髪が抜けると

訴えても 以前と変わらない笑顔だった

その日は雨で 彼女の母が

私達の着物の裾を 端折(はしょ)ってくれた

彼女は亡くなった

彼女の母は 勤め先には知らせて

私達には 事実を知らせなかったから

彼女は いつも明るかった

病院のベッドの上でも

いつもと 変わらない笑顔だった