「時速五百キロ、航続時間六時間、正に空中戦を得意とする様設計された零戦。熟達した護衛機の飛行士。それが応戦する間もなく撃墜されるとは……。
十六機の敵機は待ち伏せて右前方上空より襲撃して来たとある。一番機、二番機を正確に標的としていたのだ。
我々の偵察機による目視索敵活動では、とてもこんな戦果は上げられない。
きっとラバウル司令部の情報は、一部始終敵に筒抜けになって、暗号解読がなされ、長官と参謀長の行動の詳細が把握されていたに違いない」
彼等の精度を上げた探査網と新鋭機。
それらに屈して「ちくしょう! ちくしょう!!」の連発や歯ぎしりだけでは、どうにも済まなくなってきた事を俊介はひしひしと感じていたのである。
山本五十六の突然の戦死から四ヶ月、国葬から二ヶ月を経た八月六日朝。
遂に俊介にも出征の命が下された。
行先はラバウル南東方面艦隊第十一航空艦隊への配属であった。
「ラバウル東飛行場を全精力を預けて死守すべし」との命であった。
咄嗟に俊介は心の中で呟いた。
「いよいよ国の為、君の為、身を捧げる時が来たか…」と。
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