【前回の記事を読む】お金を払えば出せる広告、払っても出せない広報…メディアに取り上げられる会社が知っている“ニュースバリュー”の正体
第1章 危機対応広報の仕事とは
基本①=言葉の定義
「あなたの会社で広報はどの部署に置かれている?」
ここで、読者の皆さんにお尋ねします。
あなたの会社の組織図では、広報はどの部署に所属し、どの部門に連なっていますか?
総務、経営戦略、マーケティング、コンプライアンス部門、社長室など、会社によって広報は様々な部署に所属しています。上場企業ではIRと広報が一緒の場合も多く見られます。一方で会社規模が大きくない場合は、総務部が担当していることもあります。
会社の規模や職種によっても異なるでしょうが、広報の位置づけは、会社が「何を広報する」かをメインに考えているかを表しています。そしてこのことは、上司(部門長、役員、社長)の目線、発想の違いにもつながっています。
私が勤めていた会社では、コンプライアンス室が作られ、危機対応担当の法務部と広報部が傘下に入りました。私が初代室長になったのですが、宣伝部は別にあるため、広報部の重要な仕事は危機対応でした。
ちなみに「紅麹入りサプリメントによる健康被害」事案を起こした小林製薬は、当時の組織図では広報部は「IR・広報部」として経理部門にありました。事案を社長が知ってから、発表まで1カ月半以上かかり、隠蔽していたと厳しく糾弾されましたが、その後の広報対応も含め情報発信がスムーズでなかった一因がこうしたところにもあったように思います。
広報部が経理部門の傘下となっている場合、IR(投資家向け情報)や決算発表の際の対応がメインとなっている場合は少なくありません。小林製薬の広報も、同じだったのかもしれません。さらに、この事案では全社的な危機対策本部は立ち上がりませんでした。
経理部門の上司も含め、広報に情報が入ってこないことになり、発表を遅らせることのリスクを指摘することも、できなかったのかもしれません。
このためか、小林製薬は、2025年1月1日より「新設する『広報・総務本部』にリスクマネジメント機能を移管し、有事対応におけるリスクマネジメントとそれにかかる情報発信の連携を図る」(*⑩)として、組織図によるとIR広報部を2つの部に分け、広報・総務本部に広報部、財務本部にIR部が属するようになりました。
あなたの会社の広報の位置づけに問題があると気づいても、社長や役員・幹部でないと組織図は変えられないでしょう。しかし、自社の体制の問題を平時から、経営陣や社内に理解してもらうことはできます。