【前回の記事を読む】仕事の中で起こる「やっかいなもの」。ダメージを最小限に食い止めるためには、何をすればいいのか。
はじめに ―危機対応の原点は、攻める側も守る側も同じ―
本書の趣旨は、あくまでも危機事案が起きた時にどう広報対応するかであって個々の事案についての批判ではありません。そのため個人名を伏せ、社名は実名にしています。社名を出すのはその社の業務、位置づけが判りやすいようにするためです。
一方で、社長など個人の実名を伏せた理由のひとつ目は、危機対応の事例としてたまたま出しただけで、人は窮地に陥るととんでもない失敗をします。だからこの社長の対応が悪いなどと特殊なことのように思わず、出来るだけ一般化して読者の皆さんに読んでいただきたいためです。
理由の2つ目は、会社名については、会社は公的なもので今も実在しています。個人については、問題事案の責任者であったのは事実ですが、その時点でその役割を担っていたことによって起こったことです。もちろん発生時のニュースでは責任者という公的な立場ですから、実名で報道されています。
ただ、辞任して一個人となって20年以上もたっている場合もあり、私は本書では、個人名を出す必然性がないと考え匿名としました。直近に起こった事例もありますが、いつまでだったら実名なのかの基準も理由もないため、辞任や引退して個人の立場になった人の場合は、統一して匿名にしています。
第1章 危機対応広報の仕事とは
危機対応広報の仕事 3つの基本
まず危機対応広報の仕事の基本について、言葉の定義からお話ししたいと思います。危機対応広報の仕事をするうえで、知っておいて欲しい基本は、①言葉の定義、②仕事の心構え、③仕事の本質の3つです。
基本①=言葉の定義
基本②=仕事の心構え 〜「覚悟」と「平時の準備」〜
基本③=仕事の本質
基本①=言葉の定義
危機管理と危機対応の違い
ちょっと面倒なことを言うようですが、最初に「危機対応広報」という言葉について、説明しておきたいと思います。
一般的に言われている「危機管理広報」とどう違うのか? 同じでしょ?――そんなふうに思っていませんか。あえて「管理」と「対応」の違いに拘(こだわ)るのは、危機「管理」とは、危機が起こらないように備えること、「リスクマネジメント」だと私は思っているからです。