●危機管理=リスクマネジメント

企業にとっては、危機事案を発生させたくない、させてはいけない、だから備え・対策、つまり、「リスク」を見極め「管理」を必ずしています。「管理」という言葉の意味は「良い状態を保つように処置すること」から考えて納得していただけますでしょうか。

火事に例えると、火の元の用心をすること、火事になりそうになったら機器が止まる仕組み、煙や熱を感知して機能するスプリンクラーを設置するなど、火事が発生しない、発生しても広がらない「対策」をすること、つまり事前に「備える」ことを「危機管理」「リスクマネジメント」だと考えています。それでも備えは100%ではありません。危機事案は発生してしまいます。

●危機対応=クライシスマネジメント

危機対応は、それでも、危機が発生してしまった後のことです。例えば、火事になってしまった場合の素早い消防への連絡、消火や避難、怪我人の対応、近隣への対処などの「対応」は、「クライシスマネジメント」です。

したがって本書では、起こってしまった事案の内容、対応も含めて世間に発表することを、「危機対応広報」と表現します。

写真を拡大 図2 危機対応広報

多岐にわたる広報の仕事

そもそも危機対応広報という言葉が世間に広く知られるようになったのは、2000年頃。雪印乳業の集団食中毒事件があった頃からです。

それまで企業で「広報」といえば、企業のブランド力を上げることが主たる業務でした。企業の事業に関わる活動や自社製品・サービスをメディアにアピールし、記事や番組内で取り上げてもらって認知度アップやイメージの向上を担うことが、広報の主な役割だったのです。お金を払って行う広告、宣伝とは区別されていました。

SNSなどがなく、自社での発信がHPぐらいしかない時代ですから、具体的には、プレスリリースやメディアの取材対応でした。しかし、人々の危機対応・謝罪会見への注目が高まりました。このことで「危機対応」という従来とは異なる広報業務の重要性が高まったと言えるでしょう。

 

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