歌声が聞こえる。映画『シラノ・ド・ベルジュラック』の教会で歌われていたような音楽である。大勢の男性が白く長い、正にその映画の雰囲気の服を着て並んで歌っている。

席の方へ歩き出した時、正面の右脇の方から歌いながら進んでくる一団と出会う。一番近くを通った人に小声で「見学していてもよいですか?」と聞く。

「ウイ、どうぞ」と彼は急ぎ答えてまた歌いながら列に着き祭壇の中央へと進んでいく。手には金具の入れ物から煙の出ているものを持っている。

その柄は長く、それをゆっくり振りながら歌の列は進んでいくのである。中央の祭壇に近づく。今までいた人と一緒になり歌いながら儀式は続いている。

映画の中にいるような不思議な雰囲気の時間が流れ、儀式は終わった。戻ってくる人にまた声をかけ、中央の祭壇他を見学する。

そのうち私服に着替えた人たちが次々と脇から出てきては仲間同士挨拶をして教会を出ていく。

最初に声をかけた一人が出てきて「何か質問はありますかマダム?」

「先ほどはありがとう、歌っている途中に声をかけてしまって」

「いえ、いえ」

「皆さんはここでお仕事の方?」

「いいえ。信者ですけどこれは希望の人がコーラスに参加してミサのたびに練習をしているのです」彼はどうぞごゆっくりと重いドアを開けて出ていった。

中をゆっくり見学して外に出る。入り口にある説明を読んでいたら後ろから声がした。振り向くと先ほどの男性が車から顔を出していた。家族らしい何人かが乗っている。

「マダム、何か聞きたいことありますか?」

「ありがとう、このイニシャルは何かしらと」

「ああそれは……」説明をしてくれてから「良き午後を!」とにこやかに手を振って車は去っていった。

同乗の女性もにこやかに笑っている。「良き午後を!」

三度目の正直の訪問だったけど来て良かった教会見学であった。

 

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