【前回記事を読む】「フランス人は個人主義で冷たい」フランスの旅では文化の違いに驚いた。人との交流を通じて、特に実感したのは、働き方における…
第1章 2006
ホテル朝食のクロワッサン
食べ終わってからフロントのマダムと少し話す。「この周辺ではオデッサ通りのパン屋さんのクロワッサンが一番おいしいのだけど、あそこのパンを入れるのは無理なのかしらね」
「確かにあなたの言うとおりそのお店のクロワッサンは格別よね」その会話に事務室にいたディレクターも出てきて言った。「そうなんだけどあのお店は朝が遅いのでホテルの朝食には間に合わないので使えないのだ」
私はそれでは仕方ないわねと納得した様子をして部屋に戻った。おいしいパン屋さんのクロワッサンは値も高い。ホテルの朝食には使いにくいのだろう。
以前はクロワッサンだけ2個が運ばれてきた地方のホテルでもこの頃はクロワッサン1個とバゲット半分というところが増えてきている。咽喉が痛かったり口の端に何かできてしまって(よく塩気でかぶれる)クロワッサンだけにと頼むことがある。
いつも泊まってくれるから仕方ないかという顔をして「特別ですよ」なんて言いながらクロワッサンに替えてくれたりする。取り放題のホテルではなおさら経費がかさむのだろう。
街のパン屋さんでもクロワッサンはバゲットの安さに比べてかなり高いのである。ホテルの事情を考えれば仕方ないことだろうがちょっと残念である。
時々カフェで朝食を取ったり、おいしいクロワッサンを買ってきて部屋で食べたりもする。ただこのホテルでの朝食は部屋の印象や、他の品、何よりおいしいカフェオレがたくさん飲めるのだから捨てがたいのである。
フロントの人と朝の会話を楽しめるというおまけもある。クロワッサンにはかなり不満だが、それはとりあえず街のパン屋さんで解消しながら残念な気持ちだけ伝えていこう。おいしいクロワッサンに代わることに期待して。