【前回記事を読む】フランスのホテルでクロワッサンにがっかり…「あっちのパン屋のを入れるのは無理なのかしら」と聞くと…

第1章 2006

ヴァル・ド・グラース教会

ある本で読んだヴァル・ド・グラース病院敷地内にある教会は今まで何度か足を運んだ。最初は娘とホテルから探しながら歩いていった。

ポール・ロワイヤル通りにあるのは地図で調べて分かっている。あまり行かない方角なので周囲の眺めも楽しみながら二人はかなり早足で教会を目指した。

かなり歩いた頃それらしき場所に着いた。歩いていた人に確認して入り口と思われる方へ通りを曲がった。柵に囲まれて教会はあった。でも門は閉まっていて教会に近づくことはできない。住民らしい人が通りかかったので聞く。入り口はロワイヤル通りをもっと先へ行った方だという。

柵に沿ってまたもと来た道の方からその広大な一角を言われた入り口らしき方へと進む。守衛室があって門も厳重な雰囲気である。声をかける。

「ここは病院だから見学に入ることはできない」

「教会の方へ行きたいのですが、向こうは閉まっていたので」

「そうか、残念。教会は日曜しか入れないんだよ」

「入り口はここからですか?」

「そうここからで」

「ではまた」

「また来てください」

残念だったけど知らない場所の散歩は面白かったので、次は日曜にと期待を込めて娘と話しながらホテルに戻った。

次の機会には私が一人で行ってみた。日曜である。前回の入り口まで行くと、守衛さんは言った。

「残念、今日は日曜だけど一般の人は入れなくなったので」

「どうしてですか?」

「ミサがあるので」

「それは残念だわ、ここはステンドグラスが素晴らしいと本に書いてあったのに」

さて三度目の正直でもう一度チャレンジとなったのである。また病院側の守衛室のある門の方へ行ってみた。今日は教会の方から入れるという。

「ここからではないのですか」

「ここからは入れないんだ」

「教会は開いているのかしら」

「行ってみて、開いているはずだよ」

来た道を引き返し、角を曲がり教会の門に着く。開いている。外側から見る建物は歴史が感じられるがさっぱりしている。入り口は階段を少し上るとドアになっている。恐る恐る入る。