こうして熱意を持って公立病院改革に取り組むことになったが、実は私よりもっと早くから群馬県立病院の改革の必要性を訴えていた医師がいた。それが共同執筆者の真鍋氏であり、氏から大きな刺激を受けた。
真鍋氏は県職員在職時の平成19年に「県立病院の今後のあり方」という調査報告書を作成し、群馬県立病院の慢性的な赤字経営体質と県からの多額の繰入金を問題視し、県立病院の改革の必要性を早くから提言されてきた方である。
本書の最重要テーマとなる全国的な公立病院の経営実態の全体像を把握する取り組みも、「群馬県の県立病院は2回ほど合計約158億円の累積欠損金を解消しているが、他の都道府県でこうした累積欠損金を解消している事例はどのくらいあるのか調べて教えて欲しい」という真鍋氏のひと言がそのきっかけであった。
多くの公立病院において貸借対照表上の「累積欠損金」を削減して、過去の赤字額を少なくして健全経営を装っている状況が明らかになってきた。これでは公立病院改革が全く進まないのではないかとの危機感を持ったことが今回の調査の目的である。
調査対象は、まず公立病院の中の都道府県立病院を(公企)と(独法)に分けて、公企は都道府県単位別に、独法は法人別にその経営実績の違いを明らかにすることとした。次に、公企の市町村立病院については数が多いため全体の分析は断念し、独法の市町村立病院を公企時と独法化後に分けて調査した。
また、我々が長年問題視してきた地元群馬県の公立病院については、個々の県立病院と市町村立病院別にその経営実態を解明することとした。
それぞれの公立病院の経営実績については、総務省ホームページの「地方公営企業年鑑」の病院事業や地方公営企業等決算の公立病院経営強化から、また独法病院についても「地方公営企業年鑑」には令和元年度から、地方公営企業等決算には平成25年度からそれぞれ掲載されており、これら資料に基づき調査を行った。