はじめに
現在、日本は多くの医療問題に直面している。人材不足や地域格差など、マスコミでも取り上げられる機会が多いのでご存じの方も多いだろう。
これら諸問題は現状の医療体制を維持できなくなるような危険性が指摘されているが、一般にはあまり知られていない重大な問題がある。それは「公立病院」の経営状態だ。毎年のように巨額な赤字を計上し、いつ経営が破綻してもおかしくないのである。そしてこの状況は長年改善されずに続いている。
地方医療の基幹となる公立病院は、常に存続の岐路に立たされている。
私達はこの状況を打破すべく公立病院の経営形態を地方自治体が運営する病院(地方公営企業:以下略称「公企」)から地方独立行政法人(以下略称「独法」)が運営する病院に変えるべきとの主張を地元群馬県はもとより全国に向けて訴えてきた。
(なお、本書では「公立病院とは都道府県や市町村などの地方自治体が運営する病院」「独法病院とは地方独立行政法人(一般又は特定、一般は職員が非公務員型・特定は公務員型)が運営する病院」と定義する。なお、特定の公務員型は山梨県と三重県の2つの県立病院機構のみ。)
それは私自身昭和55年に「県立小児医療センター建設準備室」に2年間、昭和57年に開設した同センターの医事課に2年間勤務した経験があり、当時自治省出身の小寺弘之知事が同センターの建設に熱心に取り組んでいた姿を間近で見ていた経験があるからである。
財政的にもそれほど余裕がない群馬県が、全国で7番目くらいの小児病院として開設できたのも小寺知事の熱意のおかげであり、そうした県立病院が大きな赤字運営を強いられている状況は看過できないと思っているからでもある。