『優くんへ
お元気ですか? とはいっても、優くんがこれを読んでいるのは、いつなんだろうね(笑)まずは、こんな形で挨拶することになってしまってごめんなさい。私が死んでいることは、きっともうお母さんから聞いてるよね? 急なことで頭の整理がついていないと思います。黙っていなくなってしまったことも謝らなきゃ。ごめんなさい。
でも、どうして私が死んでしまったのか、どうして優くんとの間にできた子供を生んだのかは、まだ聞いていないかもしれないから、ここで話します。
優くんは、私にとって、とても大切な人でした。優くんはあまり気づいていないかもしれないけど、私は優くんにすごく支えられていたんだよ。
優くんも知っての通り、私は小さい頃から身体が弱くて、貧血の他にも、風邪や熱を出して、周りの人によく迷惑をかけていました。
はじめのうちはみんな優しく接してくれるけど、だんだんと面倒になっていって、お母さんもため息をついたり、うんざりした顔をよく見せるようになりました。私は、それが本当に辛くて、申し訳なくて、自分は他の人にとって邪魔な存在なんだと思うようになりました。でも、そんなとき、優くんが助けてくれた。
私を座らせて水を飲ませてくれた日のこと、覚えてる? すごく嬉しかったんだ。しかも、貧血にいいからって、食べ物とか飲み物とか持ってきてくれたよね? 私はそれだけで、十分救われた。私は優くんにとっては、きっと必要な存在になれるって。
だから、優くんから告白されたときは、それが実感できて嬉しかったんだ。私なんかのことを好きになってくれてありがとう。
優くんがサッカー部の練習を見て悔しそうにしていたの、知ってるよ。大好きなサッカーができなくなって、サッカー部の人から愚痴を言われていたのも知ってる。優くんが自分の存在を否定されているように感じていたのも知ってる。
だからこそ、優くんとの間に子供ができたときは、絶対に生もうと思ったの。私が子供をおろしたら、それこそ私の人生から、優くんの存在を否定することになってしまう。
病院の先生には、身体が弱いせいで出産と同時に、命を落とすかもしれないと言われたけど、それでも生もうと思った。
お母さんは怒って大反対したけど、そんなこと関係ない。私のことを面倒がって邪険にしたお母さんの言うことなんか聞きたくない。それよりも私の身体が弱いところもすべて含めて愛してくれた優くんに、この命を捧げられるなら本望だと思ったの。だから、子供を生むことを決意しました。
優くんの家に両親と行った日、私は生む気でいたのに、声を出すことができなくて、ごめんなさい。家に帰ってから、優くんのことを想うと涙が出て、本当に申し訳ないことをしたと思った。そこは深く反省しないといけない。優くんにあの日のことを直接謝れなかったことだけは、心の底から後悔しています。
次回更新は7月28日(火)、11時の予定です。
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