職場で新型コロナのワクチン接種を求められた…打つべきか、打たないべきか。迷う私を動かしたのは、恋人の意外な一言で……
銀山に灯り、徳良湖に颪
【第1回】
西村 誠
「正義」と「不安」がぶつかる世界で、誰もが揺れながら生きていた。
銀山温泉の老舗旅館、福祉施設、学校、東京の夜の街――それぞれの場所で、日常が静かに軋みはじめる。コロナ禍がもたらした不条理は、分断を生み、平穏な日々を少しずつ変えていった。それでも人は生きていく。“決断”に揺れる人の心を、静かなユーモアで照らし出す。※本作はフィクションであり、時系列や出来事の一部は物語構成上の演出として改変しております。※本記事は、西村誠氏の小説『銀山に灯り、徳良湖に颪』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。
主な登場人物
緒言
1913年(大正2年)銀山温泉の街が川の氾濫で根こそぎ奪い去られる。
1918年(大正7年)世界がスペイン風邪に襲われる。
1919年(大正8年)徳良湖の築堤が始まる。そして、時計の針が一周する。
2020年(令和2年)再び世界はその喉元を、得体の知れない影に押さえつけられる。COVID-19(新型コロナウイルス)。
その病の正体が何であったのか。
いかなる謀略の産物であったのか。
その「総括・検証」なるものの結末を知る由もない。
ただ、不条理の世界を生き抜いた、名もなき人々の息吹だけは書き記しておこうと思う。