四月十日(木)
昨夜は夜間解放軍のリーダーだった。私の枕元に積んである漫画の間で眠っていた。今朝起きると、布団の横にある部屋のフローリングの床一面に、ピンク色の液体が広がっていた。尿だった。漏らしたのだ。トイレに間に合わなかったのか? トイレを嫌ったのか? とうとう介護の事まで考えないといけない段階に来たのだろうか?
奇跡的に、私の布団や床に積んでいた本は皆無事だった。布団の下にあって布団からはみ出ているラグがほんの少し濡れただけだった。これは奇跡的だった。ここでも猫さんの不思議な力を感じた。
だが、このようにおしっこを漏らすとは、やはり先が長くないのだろうか? 昨日は食事が摂れていただけに、持ち上げられて落とされた気分だった。
見通しが甘かっただけかもしれない。やがておむつを履かせる事も考えないといけないだろう。妻はこの惨状を見て
「もうリーダーは無理なんだね」
と呟くように言った。その言葉が心に重くのしかかる。一歩一歩、猫さんの命が終焉に向かって行くイメージが浮かび上がったからだ。
猫さんは、リビングで怒っていた。床を拭いた後、彼女の足やお尻を拭いてやろうとするのだが、興奮しているのか警戒しているのか、近くの床に垂れた尿の雫を拭く事にも警戒して猫パンチを繰り出してくる。
これまで築いてきた信頼関係まで無くなってしまうのだろうか? ずっと大切にしてきたのに……、ただそれだけが残念だった。これから事態がもっと悪くなるのだろうと思うと、気が滅入る。排せつ物の処理よりも、猫さんに私との関係性が否定されているように感じてしまうのが何十倍も辛いのだ。
おしっこの片づけを終えてどうにか仕事に行く。帰って様子を見るが、元気がない。特に飲水が悪かった。心配だったが、この日は午後も仕事に行かざるを得ない。
結局、ちゅーるとシリンジ食でどうにか150キロカロリーを摂らせた。排尿は三回。水分摂取は、飲水90mlに点滴120mlの合計210mlだった。
次回更新は7月26日(日)、11時の予定です。
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