フィールド
二人とも〈ボイのタチ〉とビアンの世界では分類される。ボイは見た目がボーイッシュということでタチとは、同性のセックスにおいての能動的攻め役のことである。
FTM(エフティエム)〈Female to Male〉とは身体(からだ)の性別〈sex〉が女性であり、心の性別〈gender〉が男性という心と身体の性別に違和感があるトランスジェンダーの一つのカテゴリーであるが、カイと誠の性認識を説明するならば、そのカテゴリーになる。
自分の思う性〈性自認〉と身体の性の違和感を性同一性障害と呼び、その違和感を一致させようとするのが性別適合手術となる。〈現在は性同一性障害〈gid〉という名称は『WHO』などの国際的な診断基準ではその名称が精神障害であるように誤解されるということから廃止され、世界的には『性別違和』や『性別不合』という名称が医療関係者の間では採用されている。
性別の違和感を一致させるためとして自分の皮膚を採取して疑似ペニスを形成する人がいる。男性ホルモン〈男ホル〉を注射して生理を止め、ヒゲを生やす人もいる。その他にも、子宮卵巣摘出手術、膣閉鎖手術、尿道延長手術、など大掛かりな手術もある。
カイも誠も胸の手術、所謂、〈胸オペ〉と言われる胸を平らにするための手術は終えている。カイは理恵と付き合い始めてからだが、元来、早く男になりたかった生粋の同性愛者である九歳下の誠は二十代の時に〈胸オペ〉済みだった。
一緒に説明しておくと戸籍上の性別変更には以下の条件が必要となる。
・二人以上の医師により性同一性障害であることが診断されていること
・十八歳以上であること
・現に婚姻していないこと
・現に未成年の子がいないこと
・生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること〈二〇二三年十月二十五日最高裁判所大法廷決定において、上記の要件は憲法十三条に違反し無効であるとの判断が示されたことにより二〇二三年十二月より特に記載の必要はなくなっている〉
・他の性別の性器部分に近似する外観を備えていること
この六つの条件を満たすことで、家庭裁判所に性別の取り扱いの変更を求める事ができる。それでも身体(からだ)と心の違和感をどこで納得させるかは、本人次第となる。
FTMと呼ぶのかそうでないのか、それも定義は人それぞれであり、心と身体の違和感があっても性別適合手術を行わない人も、家裁に審判を願い出ない人もたくさんいる。