見知らぬ女性の言葉に、泣いてしまって…

それは、まだ息子が生後半年だった頃。健診の帰りでした。

 

その日は猛暑日で、そのせいなのか、息子は朝から機嫌が悪く、病院でもずっと泣いていて、やっと泣き止んだと思っていたのに、帰りの電車でもベビーカーの中で火がついたように泣き出しました。

 

車内の人が皆、嫌な顔でこちらを見ている気がしました。

 

「すみません、すみません」と何度も謝って、私はベビーカーを揺らしました。抱っこしても泣き止まず、運悪く乗っていた電車は特急。次の駅までまだあと10分くらいあります。私にとってはそれが、とてつもなく長い時間のように思えました。

 

その時、隣に立っていた年配の女性が、そっと私に声をかけてくれました。

 

「大丈夫よ。赤ちゃんは泣くのが仕事だから」

 

よく聞く言葉かもしれません。でも、その時の私には、本当に救いの言葉でした。

 

それからその方は、息子に微笑みかけながら「元気ねえ。可愛いわねえ」と言ってくれました。息子は変わらず泣き続けていましたが、私の心は少し落ち着きました。そしたら、気づけば私が泣いてしまいました。

 

そうこうしている内に次の駅に着き、まだ泣き続けている息子を連れ、私はその女性にお礼を言って、電車を降りました。声がとても震えてしまっていたので、ちゃんと届いたかどうか分かりません。

 

私は今でも、子ども連れのお母さんやお父さんが困っている姿を見ると、私はあの日の女性を思い出します。

 

あの日と同じ路線に乗っているとき、ついあの女性の姿を探してしまいます。けれど、正直、顔もよく覚えていないのです。とにかく優しい笑顔だった、ということだけで。それでも私は、あの人に伝えたいです。

 

あの日、あなたが何気なくかけてくれた一言で、私は「大丈夫」と思えました。初めての子育てで、毎日毎日よく泣く息子と一緒にいて、母親として失格なんじゃないかと追い詰められていた私の気持ちを、あなたが助けてくれました。

 

あの時のお礼の言葉は、あなたにちゃんと届いていたのでしょうか。本当にありがとうございました。

 

mireiさん(30代・女性)

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